創部管理・創部洗浄

外科術後 創部管理・創傷管理方法

手術後48時間の傷の管理

・カラヤヘッシブなど静菌作用のあるものを使用し閉鎖したままにする。
理由:手術創は、48時間で切開縫合部が表皮化し、外部バリア機能が完成するため開放をしない
※ドレッシング交換は微生物の入る機会を増やすため
・48時間以内は傷の洗浄は生食を使用

48時間以降の傷の管理

・毎日適時創部感染の有無を確認し創部感染の早期発見が大事
・創部の感染について
発赤 腫脹 圧痛 発熱 硬結 熱感 膿汁の貯留や流出
白血球・CRPの上昇 の観察を行う
※創部が発赤する理由は、感染を起こした場合菌が横に繁殖し、炎症を起こし創部周囲(創円)の皮膚の発赤を起こすため
発見次第、上記の創感染兆候をしっかりと観察して医師に報告し創部を開放させる必要がある
発見が遅れると細菌が繁殖し炎症が波及し脂肪がとけてしまい傷が大きくなり傷の治りも遅くなる

48時間以降の傷の洗浄について

・傷の洗浄は水道水を使用し洗浄を行う

治癒の過程
一次治癒
汚染が少なく、創縁が相接する創傷での治癒
二次治癒
開けた傷をそのまま肉芽を盛り上がらせて治癒(瘢痕がのこる)
三次治癒
汚染があり開放し洗浄を行い創部を寄せて治癒


創部洗浄方法 手技 手順+ドレッシング剤の使用について

・手術後48時間以内は生食を使用し創部洗浄
・手術後48時間以降は水道水を使用し創部洗浄を行う
・消毒剤は使用せず、汚い組織はデブリを行うまたは濡れガーゼを入れて細菌を除去する。
理由:消毒液は創部の治癒を遅らせる
濡らしたガーゼを使用する理由:通常創部にガーゼを貼ると新しい肉芽ができはがすときにはりつく
同じように汚い創部にガーゼを貼ることにより新しい肉芽ごと菌を取り除く目的で濡れたガーゼを創部に入れる
以前はwet to dryにて管理
=濡れガーゼを入れガーゼが乾いたらガーゼを除去するやり方であったがそれでは疼痛を伴う
最近はwet to moistureにて管理
=濡れガーゼが乾く前にガーゼを除去する。さらに濡れガーゼの上からフィルムドレッシング材などにて保護し湿潤環境を維持する方法を行っている
創部は乾燥すると疼痛を伴うためガーゼが濡れているうちにガーゼを除去し次の濡れガーゼを入れる、それを繰り返すことで不良肉芽や細菌を除去する
(頻度は初期は1日2回程度、その後は1日1度程度行い、創部の状態をみてドレッシング材に変更していくまたは創部を寄せてくっつける)

湿潤環境にする目的 利点

①温度が上昇し細菌の繁殖を抑える
②被覆材によりPHが低下し細菌の繁殖を抑える
③低酸素により細菌の繁殖を抑える

創部閉鎖時期


①創部周囲の皮膚(創円)に発赤がある+創部の底(創底)に膿がある
まだ洗浄が必要な時期 しっかりと圧をかけて洗浄を行い、またはシャワー浴にて洗浄を行い必要時デブリを行う
創部に生食ガーゼを入れフィルムドレッシングで保護を行う。
*一時的にヨードホルムガーゼまたはアクアセルAGを使用することもあるが、ヨードホルムガーゼがよいとのエビデンスはなくしっかりと洗浄をおこなった方との差がない。

②創部周囲の皮膚(創円)に発赤がある+創部の底(創底)には膿がない
まだ洗浄を行い、創円の発赤具合をみて創部を寄せて傷をくっつける

③創部周囲の皮膚(創円)に発赤がない+創部の底(創底)には膿がない
創部を寄せて傷をくっつける
※創部が深い場合は肉芽が盛り上がるのを数日または数週間待ってから、傷を寄せて創部をくっつける
・創部が深い場合の肉芽を盛り上げるために適切なドレッシング剤を使用する必要がある

創部洗浄の方法

必要物品 準備物品
生食または水道水 防水シーツ 膿盆 滅菌ガーゼ ビニールエプロン マスク 帽子 手袋 

手順 手技 方法


①処置室へ移動

②防水シーツを下に敷く+看護師の手洗いをしっかりと行う
看護師の感染予防(帽子 手袋 エプロン マスク)を行う

③創部をしっかりと見えるようにし必要時側臥位にする。
※創部を洗ったときに膿盆にうまく落ちるように調整する

④膿盆をしっかりと当て、したにガーゼを置いておく

⑤高圧洗浄器または洗浄ボトル、サーフロ針などを使用し圧をかけて洗浄を行う
※高圧で行うため汚いものが周囲にはねるため十分に注意する
※特に感染創部のほかにドレーンなどが入っているときにはしっかりとドレーンを保護する

⑥洗浄後創部をステージに合わせて処置する

⑦物品をかたずける+手洗いを行う

創洗浄 注意点 留意点

①感染創、非感染創の2か所がある時は非感染創のガーゼ交換を先する
②HCVなど感染症がある患者さんは最後に処置をする
⑤処置時はカーテンの開け閉め、物品の移動など事前に調整を行い、処置後は速やかに物品(手袋やマスク・エプロンなど)を捨て、手洗いを行う

感染創が疑われた場合、スワブで表面をとるのではなく、デブリ等で組織ごと検査に出し、菌を特定する
※スワブで取るだけだと、原因菌が特定できない。

創部の寄せ方について

シルキーテックス バリケアウェハーを使用し傷を寄せる
寄せる創部横にバリケアウェハーを置きシルキーテックスで寄せる
皮膚を引っ張るため皮膚の保護の目的でバリケアウェハーを使用する
皮膚の保護について詳しくは 医療用テープ選択方法 を参照
またはしっかりとナートを行う

変更や追加などあればぜひ下よりおねがします。細かいことでも結構です。こうだったかもでも結構です。名前はペンネームでお願いします。150文字で入らなそうな場合は右下のメール欄からお願いします。またサイトを見ていただいている方で答えられるものがあれば答えていただけたら嬉しいです。みんなで解決していけたらいいと思っています。

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  • 濡らしたガーゼを使用する理由が今一つ分かりません。濡れたガーゼのメリットがはっきり分かりません。教えて下さい。 --- mobistar (2012/04/30 20:00:17)
    • コメントありがとうございます。遅くなりましたが追加してみました --- ayatyan0709 (2012/06/22 05:31:12)
  • ありがとうございました<(_ _)> また、勉強させていただきますね!! --- mobistar (2012/07/23 19:24:25)
  • 洗浄液に井戸水は使用しないほうがいいのですか? --- パク (2013/09/21 10:37:21)
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  • 最終更新:2012-07-31 14:02:36

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