ストーマ管理指導方法

術後ストーマ交換観察点 観察ポイント 観察項目 観察事項 ストーマケア 方法

①ストーマ色(紅色 やや不良 不良) サイズ(縦X横X高さ)陥没や突出の有無
※前回交換時と比べてどうなっているのかを見ていく
②ストーマ浮腫の有無
③接合部出血の有無 離開の有無
④ストーマ周囲の皮膚の状態観察
(発赤・発疹・びらん・掻痒感の有無)
※発赤 びらんなどの程度により装具の選択をする
⑤ストーマのフランジの溶解部位+溶解程度
※〇時方向1cm溶解全周5mm溶解など
⑥座位になったときの腹部のしわの部位や程度の観察
⑦食事内容の観察+便の性状の観察
⑧交換日ではない時にはがれたときにはなぜはがれたかをアセスメントする
※食事内容が変わり下痢になりはがれたや離床を始めてはがれたなど
(場合により装具を変更または保護材を使用する)
⑨ストーマの種類を把握
コロストミー(結腸ストーマ) 上行結腸:液状から粥状 横行結腸:粥状から軟便 下行結腸:軟便から固形
       S状結腸:固形便
イレオストミー(回腸ストーマ) 小腸回腸部:液状
ウロストミー  (尿路ストーマ)尿

ストーマ皮膚保護材成分

親水性ポリマー:排泄物・分泌物を吸収
カラヤガム・ペクチン・CMC・ゼラチン
カラヤガム:保水性・吸水性・緩衝作用・静菌作用
ペクチン :弱酸性を保つ
CMC    :水様性・粘ちょう性・接着力
ゼラチン :温度により形状変化・保水性

疎水性ポリマー:水分による浸食を阻止+粘着性
ポリイソブチレン・SIS
ポリイソブチレン:粘着性・柔軟性をたかめる
SIS      :型ずれせず耐水性耐久性を高める

パウダー   ::親水性ポリマー粉末
板状皮膚保護材とストーマとの隙間に散布
(びらんなど皮膚と皮膚保護材が接着しずらい場合などに使用)
ペースト・パテ:親水性ポリマー粉末にアルコールやワセリンを混ぜたもの
(水分で崩壊しやすくウロストミーなどでは使いずらい)
(しわやくぼみがありその隙間を埋めるために使用する。アルコールが入っているものは開封後時間を少し開けアルコール分をとばしてから使用)

板状皮膚保護材(シート・リング):親水性ポリマー粉末を板状に固めたもの
             ゲル系:親水性ポリマー粉末をグリセリンで固めたもの
       ポリマーブレンド系:親水性ポリマー粉末をゴム状の疎水性ポリマーで固めたもの
手で練って使用・リングはそのまままたは手で練って使用

皮膚保護材の選択

コロストミー:カラヤガム・CMCを含有するものを使用
便が固形のため皮膚保護材の溶解が少ない

イレオストミー:カラヤガム・CMCが含まれ形状変化の少ないものを使用

ウロストミー :形状変化が少ないSISを含むものを使用

装具選択

・排泄物の観察が容易なもの・防臭効果があるもの・装着時創部痛が少ないもの・ベルトを必要としないものを選択
コロストミー:ポスパックB・ノバ1フォールドアップ
イレオストミー:ポスパックB・イレファインDキャップフラット
ウロストミー:窓付き装具や二品系装具



単品 
利点:ストーマ袋が外れない・装具の違和感が少ない・単価が安い
欠点:袋が交換できない・ストーマを直接観察できない・
選択
脂肪の少ない堅い腹部・ストーマトラブルがない・平面が得られる・傍ヘルニアや脱出などがある


二品系
利点:ストーマ袋を交換することが出来る・装着時ストーマを直接見ることが出来中心を合わせやすい
欠点:ストーマ袋が外れることがある・ストーマ部の違和感・単価が高い
選択
皮膚にたるみやみぞ、しわが多い・好みで適時ストーマ袋を交換したい人
 

ストーマ指導

指導前は看護師に手行い、ある程度ストーマ浮腫が落ち着き装具が決まったころに開始
①患者さん自身がストーマを見ることが出来る
※あせらず行い、受容できるようにかかわっていく
②ストーマをはがすことが出来る
※必要時リムーバーの使用方法を説明し、座位にてズボンのゴムなどにビニールをつけて座ってもらい、リムーバーを使用し片手で皮膚を抑えながらもう片方の手でゆっくりとはがせるように指導する。
※リムーバーにも種類あり最近はサニーナなど使用しはがすことを勧めていることが多いがアルコールがないリムーバーもお勧め
※リムーバー液体のタイプもある
③ストーマを石鹸で洗浄することが出来る
※洗面器に微温湯をいれガーゼで軽く便と拭きとり、再度別なガーゼで石鹸をつけしっかりと泡だててストーマを洗い、別のガーゼでしっかりと洗い流す。この時一緒にストーマの観察をするように指導
④ストーマをしっかりと乾かす
※しっかり乾かさないとフランジがうまくくっつかないことを説明
※ストーマサイズ測定については患者さんの指導にはほぼ必要ないと思うので省いてます
⑤ストーマにフランジ(面板)を貼る
※通常フランジカットはあらかじめ数枚分しておくかカットが必要なければそのまま貼る
※ストーマの下部からしっかりと貼っていき、ストーマ全体をいれてしっかりとストーマ内側から外が側におさえる
※片手でしわを伸ばしながらしわがないように貼っていく
(フランジは熱によって溶けてしっかりとくっつくためはがれやすい場合はしっかりと押さえた後、少しよこになり休んで(30分くらい)から動くようにする)
※ストーマ(人工肛門)の場所によりうまく見えないときは鏡などを使用するように指導する。
人工肛門の指導に関して
確認しておくこと:
①患者さんの職業
例)農業など中腰になることが多い患者さんなどでは、腰を曲げた状態で仕事することが多いためどこにしわが出来やすいかなどチェックする
②年齢 
・高齢で手先の器用さはどうか
・指導に関しての理解度はどうか
・一人で日常生活は行えていけるか
・トラブルの時にパニックにならないか(対処できるか)
③ストーマに対しての理解度
・術前からの受容の程度を観察し受容出来ているか
・知識はもちろん交換手技への手順は患者さんのみで理解できそうか
④家族構成(1人くらしなのか手伝える家族がいるのかキーパーソンは誰か)
・交換手技が本人だけでは難しいときにサポートできる家族はいるか
・24時間いるのかなど
・キーパーソンに指導をすることがあるため。
⑤食事内容によっての便の性状の変化
・入院中の5分がゆから常食への変化でどのように便の性状が変わったか、食事指導へつなげる
指導に関して
①日常生活について
②トラブル発生時の説明やサポートの説明 
③装具の購入方法 
④身体障害者手帳についても説明

日常生活について

入浴
交換日      :ストーマをはがしてから洗浄してそのまま入浴してok
交換日ではない場合:中の便を捨ててパウチをつけたままにゅうよくしてok(耐水性があるため)
          お風呂から出たときにはガーゼやタオルで袋をしっかりと拭く

温泉       :家族風呂や小さくたたんでクリップなどでとめてはいれます

食事
基本的に制限はなし
ガスを発生させるもの  :炭酸飲料 さつまいも ごぼう きゃべつ ラーメンなど
ガスの発生を抑えるもの :乳酸飲料水 ヨーグルトなど

臭いが増強するもの   :ニンニクねぎ、卵 チーズ たまねぎ 卵など
臭いを抑えるもの    :レモン ヨーグルト オレンジ パセリなど

運動
通常の運動であれば問題ありません。相手とぶつかり合うようなスポーツは避ける


旅行
交換予定の物品より多めに持っていくようにする
バスなど乗る前に排液をするようにする

仕事
復帰時期は医師と相談
復帰後は周りの人に理解をしてもらえるように説明する
緊急時交換できるセットを持ち運ぶ

ストーマトラブル発生時の対処(患者さんへの説明)

ストーマのすぐ近くの周囲のただれ
①ストーマカットをしているときなどしっかりとストーマサイズにあわせてカットできているかチェック
②下痢気味などで水様なときは早めに1日程度早めに装具を交換する
③次回ストーマ外来にてパウダー・ペーストなど、つけて保護することもあり、ストーマ外来で相談するように伝える

フランジ部のかぶれや発赤
①フランジが自分に合っていない場合があり、次回ストーマ外来で相談するように説明
※通常交換日が長い装具を選択するが、場合により交換日が短いものに変更することあり
②はがし方の工夫により落ち着くことあり、ゆっくりと皮膚を片手で押えてはがす、またはリムーバー(アルコールがないもの)を使用する
③交換予定日より早くはがすと粘着性が強くはがすときに皮膚に負担がかかることがある

ストーマからの出血
①フランジカットをしている人はカット幅が短すぎる可能性がある
②洗浄時石鹸であまり泡立てずにガーゼでこすると出血することあり
③べるとなどでしめつけすぎていると出血の可能性がある
出血した場合はしっかりと圧迫し止血を行い原因を考えて次回以降出血させないように保護する
※出血が多量で止まらないときにはしっかりと圧迫しストーマ外来へ受診を勧める

ストーマ排液方法

・手袋とガウンを着用
・トイレットペーパーを数枚切った状態で準備
・ストーマから便を排液カップに排液
・排液口をトイレットペーパーで拭く
・排液口を少し開き内側もトイレットペーパーでふき取る
・排液口を閉めて終了

ストーマ排液指導のポイント

・排液の体制の指導
座位で排液を指導するか、立位での排液を指導するか

高齢で座位で指導

事前にトイレットペーパーを数枚切っておくように指導
①高齢で足腰が弱いようであればトイレの便器と同じくらいの椅子を用意
②便器に向かって座ってもらうように指導
③少し椅子の前のほうに座り排液口を上に向け便が出ないようにして排液口を開けるように指導
④排液口を便器に出し便を排液
⑤排液口をトイレットペーパーで拭きとる
※排液口の内側まで拭かなくてよいタイプを選択
(ビニールタイプであると便が下のほうまで出ていると中を拭かないとうまく絞められないが、プラスチックタイプであればあえて中のほうまで拭かなくてもうまくふたが閉まる。)
⑥排液口を占めて終了

立位で指導

事前にトイレットペーパーを数枚切っておく
①比較的動ける人であれば立位のまま指導を行う
②トイレの便器に向かい排液口を上向きにして開く(上にしているので便がでない)
③便器に前かがみになり便を捨てる
④排液口をトイレットペーパーで拭く
⑤排液口を占めて終了

身体障害者手帳について

①一時的人工肛門については申請するかしないかは家族・本人次第で申請までに数カ月かかりそれまでに人工肛門を閉じることが多いため通常は申請しない。
②人工肛門のみであれば通常身体障害者4級であるが、他に人工膀胱などの尿路変更など条件により身体障害者1級3級4級となる
③身体障害者申請については各市町村の役所に家族が行ってもらい、市町村の申請用紙を貰ってきてもらう。
それを主治医が記載し、役所に提出する形となる
④市町村によって多少受けられるサービスが違うため病院から説明はせず市町村で詳しい説明を受けてもらう
最後に自分が身体障害者というのを嫌う患者さん家族もいるので、あえて申請しない患者さんもいるので説明の時に注意が必要

変更や追加などあればぜひ下よりおねがします。細かいことでも結構です。こうだったかもでも結構です。名前はペンネームでお願いします。150文字で入らなそうな場合は右下のメール欄からお願いします。またサイトを見ていただいている方で答えられるものがあれば答えていただけたら嬉しいです。みんなで解決していけたらいいと思っています。

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  • 最終更新:2012-11-13 23:34:00

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