胸膜癒着術

胸膜癒着術 手順 方法 手技

目的

胸水のたまるスペースを胸膜を癒着させることにより閉じる目的
※壁側の胸膜と臓器側の胸膜の間に胸腔ドレーンを挿入し、なかにたまった胸水を全て出したあとに治療を行う。胸腔ドレーンに陰圧をかけ胸腔内にたまった胸水を取り除いたあと薬剤を胸腔ドレーン(トロッカーのダブル)の側管より注入し胸腔内で炎症を起こさせて癒着させる方法
胸腔ドレーン挿入方法

必要物品
ミノペン点滴静注用100mg(ミノマイシン) 3バイアル
+αとしてピシバニール(抗がん剤)を使用することあり 
生食50ml
1%キシロカインポリアンプ10cc
酒精綿 クランプ用ペアン2本 未滅菌ガーゼ トレイ 
未滅菌手袋 50cc注射器(可能であればロック式)10cc注射器(可能であればロック式)
ビニール

手順 手技 方法

①医師にて事前に生食50mlを50cc注射器に吸いミノペン3バイアルを溶解し注射を準備
②医師にて事前にキシロカインポリアンプ10ccを注射器10ccに吸っておく
②患者ベッドサイドへ行き患者さんへ必要性を説明
③胸腔ドレーンを2カ所ペアンでクランプ
④医師にて胸腔ドレーンの側管よりキシロカインポリアンプ10ccを注入
④胸腔ドレーンダブルの側管より医師にてミノペン3バイアル入りの生食50ccを注入
⑤注入後いしにて側管のフタをする
6仰臥位→右側臥位→腹臥位→左側臥位→頭部を下げての仰臥位→頭部を下げての右側臥位→頭部を下げての腹臥位→頭部を下げての左側臥位→これ以降楽な体位をとり制限解除)を15分毎に体位変換する
※頭を下げての・・・=胸腔の上部にも液が行くようにバスタオルなどを利用して腰の方を上げて東部に向かって体がななめに低くなるようにする
バイタル=開始前 開始後15分 30分 45分 1時間 2時間で測定
※胸膜刺激症状により迷走神経反射のリスクがあるため血圧に注意
※上記のように頻回に測定する必要性はさほどないが経過をみるため当院ではおこなっている
⑥2時間後の胸腔ドレーンのクランプを開放する。

看護のポイント

注入直後
※薬剤注入中疼痛の有無や胸腔ドレーン挿入部の観察を行い治療薬の脇漏れがないかを確認する
※胸膜刺激症状により迷走神経反射のリスクがあるため血圧に注意
※呼吸症状も観察していく SPO2も
※薬剤アレルギーによるショックの観察 キシロカイン ミノペンなどによるもの
注入日以降
※炎症による発熱や疼痛
※総感染 膿胸のリスク 肺炎や胸膜炎 
※胸水が事前に完全に排液できていない場合や薬液が全体に広がらない場合癒着術がうまくいかない場合が有り数回同じ治療を行うことがある

胸腔ドレーン抜去の目安
胸水量が1日50~100ml以下 ただしそれ以上の場合2回目の癒着術を行うことがある

  • 最終更新:2013-02-04 19:51:10

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